ループするメイドは破滅ルートを回避したい!はずが、なぜか宰相様の溺愛ルートに入ってしまいました!?
 書類に目を落としたまま応じるセドリックに、ライナスはボヤくように続ける。

「メイド相手にここまで空気が張り詰める執務室も珍しいかと。報告のための空間としては、やや不適切かと存じます」

そしてアリアのティーカップへと丁寧に紅茶のおかわりを注ぐ。

「気にしなくていいですよ、おそらく八つ当たりですから」

 その言葉に書類をめくるセドリックの手が止まる。

「ずいぶん饒舌だな」

「ええ。ですがこのままですと()()()()は気づかないまま逃げ出すかと思いまして。それは閣下としても不本意でしょう?」

 アリアはそのやり取りをぽかんと見つめていた。
 何が言いたいのか、いまひとつピンと来ない。

 けれどセドリックは書類からアリアへと視線を移すと、眉間を押さえて静かに息をついた。

「……報告を続けてくれ、アリア」

「え、よろしいんですか?」

「……あぁ」

 どこか諦めたような――けれど、さっきより少しだけ柔らかい声。

「えっと、実は明日お二人で王立図書館へ向かわれるご予定でして!これは殿下からのお誘いなんですよ!」

 そう言いながら、アリアは先ほどまでと打って変わってきらきらと目を輝かせる。

「クラヴィス嬢は喜んでいたのではないか?」

「ええ、それはもう!お部屋に戻られてから、明日のお召し物をどうするかってずっと悩まれてて……それがまた尊いと言いますか……!」

「ほう、それは……興味深いな」

 くすりと笑ったセドリックの表情をアリアは見逃していたが、陰で書類を整えていたライナスはきっちりと見ていた。

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