【香る物語】香りの檻
それは、初めて見る『本物の大人の恋』。

学校で友だちと笑いながら話す恋バナでも、テレビの中のアイドルの恋でもない。お父さんとお母さんのような穏やかな愛とも違う。

涙と抱擁の中にある、切なくて、苦しくて……なのにそれが悲しいほどキラキラ輝いていて、どうしようもなく美しいもの。

その夜の光景を、空気と温度、そして時間ごとすべて、私の胸の奥にある香りの小箱に封じ込めて、鍵をかけた。二度と開けることがないように。

あの映画のような二人のワンシーンは、今も記憶に焼きついている……




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