【香る物語】香りの檻
このとき、女性の先輩研究員たちが皮肉っぽくぼそっとつぶやく。
「……まさに両手にイケメンよね」
「さっきからねぇ。それにさ、ほんとに私たち第一研究室のお祝いなの?」
「なんだか、ただの飲み会みたい。私たちの祝賀会じゃなくて」
蘭ちゃんは私たちが来る前から、飲み始めていたらしい。
それにしても、会社ではあんなにお兄ちゃんと蘭ちゃんのことで盛り上がってたのに。彼女たちも蘭ちゃんの態度に不満を抱えていたなんて。
私とは別の意味で。
お兄ちゃんたちが座ったのを合図に、それぞれが空いている席につく。私はドアに近い端に座った。
男性研究員二人はお兄ちゃんたちの向かいに座り、私のそばには女性の先輩たちが座る。自然と、蘭ちゃん&男性グループと、そうでない私たちに分かれた。
相変わらず彼女は四人の男性に囲まれ、楽しそうに話し、笑っている。
私たち三人は、たわいのない会話を続けていたが、酔って笑う蘭ちゃんの声が気になり、そのたびに会話が途切れる。
ちらっと目を向けると、彼女がお兄ちゃんにしなだれ、笑いながらお酒を飲んでいた。そんな彼女に対して、お兄ちゃんはやさしく微笑んでいる。
私には、向けなかったあの微笑み。
私とは、ほとんど会話すらなかった。
胸に湧き起こる黒い煙のようなものが静かに広がっていく。いつもは飲まないアルコールをあえて注文した。
「……まさに両手にイケメンよね」
「さっきからねぇ。それにさ、ほんとに私たち第一研究室のお祝いなの?」
「なんだか、ただの飲み会みたい。私たちの祝賀会じゃなくて」
蘭ちゃんは私たちが来る前から、飲み始めていたらしい。
それにしても、会社ではあんなにお兄ちゃんと蘭ちゃんのことで盛り上がってたのに。彼女たちも蘭ちゃんの態度に不満を抱えていたなんて。
私とは別の意味で。
お兄ちゃんたちが座ったのを合図に、それぞれが空いている席につく。私はドアに近い端に座った。
男性研究員二人はお兄ちゃんたちの向かいに座り、私のそばには女性の先輩たちが座る。自然と、蘭ちゃん&男性グループと、そうでない私たちに分かれた。
相変わらず彼女は四人の男性に囲まれ、楽しそうに話し、笑っている。
私たち三人は、たわいのない会話を続けていたが、酔って笑う蘭ちゃんの声が気になり、そのたびに会話が途切れる。
ちらっと目を向けると、彼女がお兄ちゃんにしなだれ、笑いながらお酒を飲んでいた。そんな彼女に対して、お兄ちゃんはやさしく微笑んでいる。
私には、向けなかったあの微笑み。
私とは、ほとんど会話すらなかった。
胸に湧き起こる黒い煙のようなものが静かに広がっていく。いつもは飲まないアルコールをあえて注文した。