【香る物語】香りの檻
リビングのソファーに倒れ込みそうになるお兄ちゃんを止め、再び支えながら寝室へ向かう。足元がおぼつかず、壁伝いに歩く彼の表情は、すでに夢の国にいるようだ。
初めて入るお兄ちゃんの寝室。喉の渇きをおぼえ、ふと気づいた。玄関でも感じたあの香りが、ここではいっそう濃く漂っていた。鼻の奥を、体の芯をくすぐる。
木の奥から立ちのぼるような香りと、紅茶を思わせるやわらかな香りが、ゆっくりと混ざり合っている。
どこか新鮮で、それでいて安心する匂い。息を吸うたび、胸の奥までそれが染みこんで、体が痺れてくる。
混ざり合った香りがこの空間を包み、心の奥にしまい込んだ香りの小箱が乱暴にこじ開けられた。
理性も何もかもがほどけるような、静かな誘惑。
カーテンの隙間からやわらかい月と星の光が見える。
初めて入るお兄ちゃんの寝室。喉の渇きをおぼえ、ふと気づいた。玄関でも感じたあの香りが、ここではいっそう濃く漂っていた。鼻の奥を、体の芯をくすぐる。
木の奥から立ちのぼるような香りと、紅茶を思わせるやわらかな香りが、ゆっくりと混ざり合っている。
どこか新鮮で、それでいて安心する匂い。息を吸うたび、胸の奥までそれが染みこんで、体が痺れてくる。
混ざり合った香りがこの空間を包み、心の奥にしまい込んだ香りの小箱が乱暴にこじ開けられた。
理性も何もかもがほどけるような、静かな誘惑。
カーテンの隙間からやわらかい月と星の光が見える。