【香る物語】香りの檻
頭の中が真っ白……ではない。真っ白の代わりに何万回も『どうしよう』という言葉だけが、激しい渦を巻くようにぐるぐると回り続けていた。
手渡されたプリント類を少し震える指で受け取り、無造作にバッグへ押し込む。
喉の渇きでかすれた小さな声でお礼を言い、診察室を出た。
心地よい春の陽射しとやわらかな風を受けながら、会社への道をただ歩く。淡い色を帯びた可憐な花びらがゆらりと舞い降り、美しい自然の贈り物みたい。でも今の私の心だけは、春とは正反対の季節に置き去りにされたまま。
嫌な予感ほど当たるものはない。この検査でスッキリするはずだったのに、否定したかった現実を突きつけられ、逃げ場をなくしたような気持ちになった。
予想外の現実に頭が追いつかない。少し時間が欲しい。あとで全部考えよう。気持ちが落ち着いてから……本当に落ち着けるのだろうか? 時間があまりないのに。
再びやさしい風が頬を撫でた。『大丈夫だよ』とささやいてくれているようで、私は立ち止まって青い空を見上げる。闇に突き落とされた自分とは対照的なその明るさに、ほんの少しでも救いを求めて。
手渡されたプリント類を少し震える指で受け取り、無造作にバッグへ押し込む。
喉の渇きでかすれた小さな声でお礼を言い、診察室を出た。
心地よい春の陽射しとやわらかな風を受けながら、会社への道をただ歩く。淡い色を帯びた可憐な花びらがゆらりと舞い降り、美しい自然の贈り物みたい。でも今の私の心だけは、春とは正反対の季節に置き去りにされたまま。
嫌な予感ほど当たるものはない。この検査でスッキリするはずだったのに、否定したかった現実を突きつけられ、逃げ場をなくしたような気持ちになった。
予想外の現実に頭が追いつかない。少し時間が欲しい。あとで全部考えよう。気持ちが落ち着いてから……本当に落ち着けるのだろうか? 時間があまりないのに。
再びやさしい風が頬を撫でた。『大丈夫だよ』とささやいてくれているようで、私は立ち止まって青い空を見上げる。闇に突き落とされた自分とは対照的なその明るさに、ほんの少しでも救いを求めて。