魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】
キョウは緩やかに手を放し、ソファに座りなおして優美な笑みを浮かべていた。

……な、何?
  それって何かろくでもないことを企んでいるときの笑顔、だったわよね?

「ユリアって本当、淫乱なんだから。
クリスマスまでお預けって言ってるのに」

……えええ?

私は目を丸くする。
でも、違うって言ったらきっとさっきの続きを今ここでするわよね?

ええ。
頷く以外に選択肢はないってこと?

なんか、絶対に違う気が……するんですけど。

「あれ?違うの?」

はーらーたーつーっ。

「ハイ、ソノトーリデス」

棒読みで答えた私の目の前に、艶やかな笑みを浮かべて勝ち誇っている顔をしている悪魔が一匹。

「ごめんね、ユリア。
一緒にマンションに行ってあげたいんだけど、イブまで仕事で一杯なんだ。
ほら、ユリアの記憶が戻る予定じゃなかったし。
だから、しばらく一人で過ごしてくれる?」

ふ、復讐?
一週間私に放って置かれたからって、その仕返ししようとしてない?

ああ、もう。
何をどうあがいても、キョウには勝てないってことを思い知らされた私は、素敵な社員さんたちに見送られながら、一人。
渡されたタクシーチケットを使って、見慣れたマンションへと帰ったのだ。
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