「庭の千草」狂詩曲
「それは直接、理仁先生に訊ねて。熱中症で倒れた後だから許可が出るかどうか、解らないけれど」

時任は許可が出るとは限らない、たぶんダメだろうという口振りだった。

「左足が今以上に弱るのは困る」

時任は詩月がこぼすと、詩月の左足をしげしげと観たが、パジャマの上からは右足とさほど変わらないように思えた。

院内ではスマートフォンやパソコンなど、通信機器を使用できないのが不便だ。

ミヒャエルやビアンカ、クレアやユリウスとも入院以来、連絡がとれていない。

詩月は理久から、詩月が連絡をとれないぶん、祖母の詩子がクレアとユリウスには連絡をとっていると聞く。

詩月が退屈しのぎに病室のテレビを着けると、ワイドショーがエントランスホールでの動画をネタにしていた。

「飽きもせず、ムダなことを」

詩月の自宅前や大学前、岩舘病院前、カフェ・モルダウにも数人、張り込みしていた。

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