「庭の千草」狂詩曲

chapter 5ーー泣き虫だった

詩月が検査入院し、2週間余りが過ぎ8月に入った。

雨は7月末に2日続けて降ったが依然、水不足の心配は解消していない。

山下公園の噴水も稼働時間を制限し、節水している。

「理仁さん。院内移動、歩いていいかな。左足が動かなくなる」

詩月はベッド脇に座り、パジャマの裾を膝まで捲った。

脚を真っ直ぐ伸ばし持ち上げると、ぷるぷると震えた。

「そうだな。データは採れたし、酸素分圧の数値もギリ安全値に安定してきたから、息が上がらない程度なら許可しよう」

理仁は言いながら、詩月の左足を触りながら確認した。

「筋肉が落ちたな、リハビリが必要か。貧血の数値は未だ少し低いからな」

理仁は詩月を睨み、念を押した。

「退院は、盆前を目処(めど)に考えている。何もなければだが」

「わかった」

時任が詩月のベッドの傍らで、詩月と理仁の会話をじっと聞いていた。
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