「庭の千草」狂詩曲
スッと詩月の隣に座る。

「よく我慢したな。確かめたかったんだろう?」

「……今は聞けない。失いたくないんだ。僕はあの人が父親であろうがなかろうが、ピアニスト周桜宗月を越えるという意志を」

ユリウスは詩月の背中を無言で2度、3度撫でた。

「ユリウス。7月に1度、日本に戻るよ。色々と手続きもあるし、ちゃんとした検査もしておきたい。ペースメーカーのチェックも……」

「そうか。国外渡航も解禁になったしな」

「……未だ、父さんや母さん、マルグリットには言わないで」

「クレアにも? いいのか」

「今は看病もあるし、父さんのことだけ考えてほしいから」

「わかった。お前は大丈夫か?」

「うん、未だ何とか。今日は部屋で休むよ」

「あっ……」

ユリウスは詩月が病院に来た当の理由を思い出した。

「すまない。無理をさせたな」

「無理矢理にでも、会えてよかったよ」

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