「庭の千草」狂詩曲
「たいへんだったのは病院だ。僕はずっと病棟に居て、とくに不自由はなかった」

詩月はそう返信した。

「向こうに戻る前までに、マネジャーに挨拶に行こうと思っている」

詩月がメールすると、遥は「わかった」と絵文字つきの返信をしてきた。

詩月が退院したことを嗅ぎつけ、退院当日から岩舘病院の自宅や詩月の家にもカメラが何台か張りついていた。

「懲りもせず、ホントっ諦めが悪いわね」

詩子と彩月はカーテンを開けて、外の様子を確認しながら顔をしかめた。

「いつまで続くのかしらね。病院とうちの家と、宗月の家を中から行き来できるようにしていて良かったわ。ねえ、お母さん」

「そうね。理俊さんのアイデアで改装したのよ、詩月が生まれる年に。うちの家と宗月の家も行き来できるように、何かあった時のために」

「お母さん、詩月のこと気がけておいてね。あの子、まだ数値がギリギリなんですって」
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