「庭の千草」狂詩曲
「それは心配ね」

「それから、左足がまだ本調子ではないの。外出する時は理久を着けて」

「了解」

盆を明けても昼間の暑さはまだ厳しい。

詩月は出かける気にもならない。

自宅にウィーンから持ってきた楽譜やレポートなどを取りに行き、部屋で譜読みしたり、レポートをまとめたりしていた。

時々、カーテンの隙間から外の様子を窺うが、日除けもせずにカメラを構える光景にうんざりした。

「このままでは収まらないな」

詩月はハ~と、深くため息をついた。

ヴァイオリンの手入れを済ませると、ケースに入れて部屋を出た。

「詩子さん、自宅の楽譜を見てくるから」

詩月は詩子に声をかけた。

「ちゃんと、エアコンを着けるのよ」

「わかってる」

岩舘家と周桜家を繋げた廊下から、周桜家に入ると真っ直ぐ防音機能のある練習室に向かった。

久しぶりに入った練習室はひどく無機質な空間に思えた。
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