「庭の千草」狂詩曲
グランドピアノと楽譜と音楽関連の大小様々な書籍や論文のファイルなどが入った本棚、部屋の隅に立て掛けた譜面台。

他には特にない。

詩月はエアコンを着け、防音をONにしてケースからヴァイオリンを取り出した。

エントランスホールの動画から始まった騒動は、エントランスホールで演奏した曲で収めたいと思った。

貢のヴァイオリン演奏のために演奏したピアノ伴奏ではなく、自分の演奏で自分自身の解釈で自分の納得できる演奏をしたいと思った。

約1ヶ月、ヴァイオリンに触れていない。

イメージトレーニングと指のマッサージ、ストレッチとエア演奏とサイレントヴァイオリンの演奏だけ。

久しぶりのヴァイオリンは重たく感じたが、愛用のヴァイオリンだ。

ガダニーニの「シレーナ」は手にしっくり馴染んだ。

詩月は貢のピアノ伴奏で抑えていた感情や思いが一気に溢れ1時間、懸命に思うまま弾きまくった。
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