「庭の千草」狂詩曲
ーー自ら、バルコニーに出てヴァイオリン演奏する姿を見せることで自身の存在もアピールした

詩子は詩月がだてに街頭演奏をしてきていないと思った。

宗月がウィーンを拠点に年中、演奏活動で活躍している姿を観ながら、詩月なりに学ぶことがあったのだろうと。

宗月が日本に連れ帰ってきたばかりのクレアは全く日本語が話せなかった。

詩月が生まれた直後から入院や手術ばかりで、まともな子育てもできなかった。

詩子はクレアに日本語、子育て、家事を教えながら、詩月をずっと観てきた。

頼りないと思っていた詩月が思いの外、しっかりしていることが、意外だった。

翌日のテレビのワイドショー番組で、詩月がバルコニーでヴァイオリン演奏する様子が映し出された。

バルコニーの窓が開き、詩月が紙飛行機を飛ばす様子から、詩月がヴァイオリン演奏を始める前までや、詩子が声を張り上げる様子までが、しっかりと流された。

< 261 / 359 >

この作品をシェア

pagetop