「庭の千草」狂詩曲
「入院中も中庭で倒れたと聞いたわ。バルコニーで演奏なんて」

「お盆を過ぎて少し暑さも変わったよ」

「だからといって、日除けがないバルコニーで。気分は? 大丈夫なの?」

「心配性だな、なんともないよ。それにしても詩子さんは大きな声だな。彼らは引き上げた?」

「さあ、どうかしら」

詩子はバルコニーに出て、塀の外を見下ろした。

「居ないーー引き上げたのかしら」

「詩子さん。窓、戸締まりして。エアコン、OFFにするよ」

詩子は詩月に言われて、窓を閉めて鍵を閉じた。

詩月はヴァイオリンをケースに仕舞い、エアコンをOFFにした。

詩子と詩月は練習室を出て、岩舘家に戻るとホッとしてソファーに座った。

ーー自分たちが、連日どうすれば塀の外の連中を追いはらえるかと、頭を抱えているのを、詩月はメモ1枚で、撤退させてしまった。いざこざを起こすことなく

詩子はただただ、驚いていた。


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