「庭の千草」狂詩曲
通知をサイレントモードにしたままだ。

元に戻す気にはならない。

オーケストラからの連絡、大学の先輩安坂、横浜の郁子や理久、BAL のミヒャエルやビアンカなど。

知り合いからの電話やメールが届いているのは、取りあえず確認している。

返信する気にならない。

気落ちしているのを悟られたくなかった。

自分のルーツだと信じていた根幹を否定された虚無感で、胸の内が寒々としていた。

目を閉じると、真っ暗な闇に閉じこめられたように感じる。

心が孤独で凍えそうだと思った。

ふわふわした温もりが手に触れた。

ふわふわした塊は、掛け蒲団の中にモソモソと入ってきて、丸く踞った詩月の腕に、体を預けた。

「ブルーム!?」

ユリウスが可愛がっている飼い猫だ。

「ユリウスの側に行かないのか」

詩月が訊ねながら撫でると、ブルームは「ニャ〜」と鳴いて喉を鳴らした。
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