「庭の千草」狂詩曲
郁子は演奏しながら、詩月との実力の差などどうでもいいと思った。

詩月がエリザベートコンクールでは、ファイナルに進出したが、入賞はしなかったと云う結果に、驚きもした。

これほどの実力を持ってしても入賞できなかったのかと。

さぞ、悔しい思いをしたに違いないと思う。

それに加えて父親が事故で、しばらく復帰できないほどの大怪我を負った。

悔しさと不安、自身も1ヶ月もの検査入院、本調子で演奏しているわけではないだろうと思った。

詩月はこれほどの演奏をしながら、ショパンは苦手だと言うし、人前で演奏したくないと言う。

贅沢な悩みだと思う。

父親、周桜宗月の演奏を完全コピーすると云う詩月の演奏だが、「雨だれ」の演奏に父親の影は微塵も感じられなかった。

実力差は明らかなのに、詩月の演奏は容赦ない。

貢も理久も少しくらい手加減して演奏してもいいのではと思う。



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