「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
ユリウスが無理に明るく訊ねて、詩月の手を握りしめた。

「こんな時にコンクールなどどうだっていい。父さんの方が大事だ」

マルグリットは俯き、啜り泣いていた。

怪我の具合がどうなのかも、定かではない。

ハインツが手術承諾書など諸々の書類にサインした、それはいかに手術が緊急を要する状態だったのかを物語っていた。

詩月は、それだけは察した。

ーーしっかりしなければ

「手術承諾書はハインツがサインした。クレアにもハインツが連絡をとってくれた。クレアも今日中には、こちらに着くだろう。ハインツは宗月のスケジュールキャンセルや謝罪に追われている」

ユリウスが無表情で伝えた。

詩月は「わかった」と答えて、ゆらり立ち上がった。

「何か飲み物を買ってくるよ。手術は長くなるんだよね」

「そうだな、まだ暫くかかりそうだ」

 ユリウスは力なく答えて、詩月を見上げた。



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