「庭の千草」狂詩曲
詩月は話しをしながら調弦を済ませ、ヴァイオリンの音を確かめた。

詩月がヴァイオリンを演奏し始めると、店内の空気が一変した。

昼間から酔っ払ったいる客もいる。

詩月が1ヶ月半ぶりにBALに顔を出し、「しばらく見なかったな。どうしていた」と、しつこく訊ねる客もいた。

詩月に酒を勧め、グラスやジョッキを詩月の席へ持ってくる客もいた。

だが、詩月がヴァイオリン演奏を始めた途端、ざわついていた客が静かになった。

演奏する詩月を食い入るように見つめている。

ビアンカは詩月のヴァイオリン演奏に、ついていくのに必死だった。

全くついていけない。

詩月は高度な技術だらけの難曲を涼しい顔で平然と演奏する。

超ヘビメタ級の難曲なのに、難しい曲を演奏しているようには思えない。

弦を押さえる左手で弦をはじいたり、指がどう動いて音を出しているのかさえも解らないほど高速だったりする。

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