「庭の千草」狂詩曲
アイルランド民謡を元にした変奏曲で、懐かしい感じの親しみ易い曲調だ。

「Die letzten Rosen, die am Ende des Sommers blühen. (夏の終わりに咲く 名残のバラよ)♬」

歌詞を歌う客もいる。

哀愁の調べは切なく憂いを帯びている。

ビアンカはこんな難しい曲が詩月の母の十八番だったことが、信じられない。

低音の奏でる重厚で艶やかな音色と高音が奏でるふくよかで優しい音色が、同じヴァイオリンから奏でられているとは思えない。

ーーヤバい。何なんだこの音色は

思わず声に出そうだった。

ビアンカは半人半鳥の怪物「シレーナ」とは、よく名付けたものだと思う。

クレアはこんな試し弾きをするだけでも弾きづらいと解る楽器を、いつから詩月に託したのか。

ビアンカは詩月がBALでヴァイオリンについて話したことはあったと思うけれど、ほとんど記憶にない。
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