「庭の千草」狂詩曲
音楽教室でヴァイオリンを教えているユリウスは、マルグリットに比べてのんびりしている。

朝9時前にマルグリットが出掛けてから、教え子たちのレッスンの進捗状況を確認し、ニュースを観るくらいの余裕がある。

空になった餌袋とエコバッグ、それにスーパーの会員カードと餌代を詩月に手渡して「お願いするわね」と言って、ダイニングを出た。

朝ご飯を食べた後の片づけは、毎朝ユリウスの担当なのも、見慣れた日常だ。

詩月が日本で暮らす、横浜の実家では考えられない。

宗月は1年中殆ど海外遠征の演奏で、トータルしても1ヶ月くらいしか日本に居ない。

クレアと2人きりだ。

詩月が後片づけをすることもあったし、簡単な調理をすることもあった。

宗月の書斎や部屋は厳然と存在しているのに、主の宗月は家に殆ど居ない。

それが当たり前だった。

「ユリウス。食べ終わったらお皿持ってきて、洗うから」

「ああ」

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