「庭の千草」狂詩曲
何処から事実が漏れたのかはわからない。

「壁に耳あり障子に目あり」

詩月は帰国した時、たしか理久が言っていたのを思い出した。

詩月には今さら、バレたところで自分自身の気持ちは変わらないのにと思う。

周桜宗月の実の息子ではないことが重要なことなのかと、不思議でならない。

20年も隠し通してきた、事実を公表しなかった、騙していたーーメディアはそんな風に言いたい放題言うのだろうと。

それに答えて報告したり、謝罪したりする必要があるのかと思った。

戸籍上は息子、そんな事情は幾らでもあるではないかと。

実の父親が誰なのか、まで暴かれてしまうのかと思うと、恐くなった。

宗月の病室に行こうかどうか迷い、会わずにユリウス宅に戻ることにした。

「済んだか」

会計を済ませると、ユリウスが声をかけてきた。

「マスク着用が義務付けされていて良かった」
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