「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
詩月は宗月の性格上、妻の生んだ子供の父親に知らん顔はしないだろうと思った。

ただ、できれば墓参りの話は「自分からではなく、父さんから母さんに話してほしかった」と思う。

「僕の父親は父さん以外に居ないと思っているけれど、でも実際に血の繋がった父親がいるのは事実なんだ。それから、僕は母さんの前にガタニーニを演奏していた人の前でがダニーニを奏でてみたい」

「お前なら、そう言い出すと思っていた。なあ、クレア」

宗月はクレアに向かって微笑みかけた。

詩月は詩子と彩月が話した宗月の決断とクレアの意志を思い出していた。

20年という歳月はクレアにとっても宗月にとっても長かったに違いないと思った。

どんな思いで20年を過ごしてきたのか?

特に、詩月を見るたびダフィットを思い出したのではないかと。

詩月が体調を崩すたび、悔やんだのではないかと。
< 362 / 380 >

この作品をシェア

pagetop