「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)
詩月は主治医「理仁」とまめに連絡を取っている。

詩月の様子を遠隔システムのデータなどで観察しながら、ワクチン接種をどうするか検討中だ。

10月初旬に詩月の所属する楽団では、「第九交響曲」演奏のWEB配信チケット販売が発売され、僅か40分で完売した。

「知っているか? あの詩月、ピアノの調律ができるらしいぞ。けっこう良い腕らしい」

「ピアニスト志望の癖にヴァイオリニスト。曰く付きのヴァイオリンを弾きこなす理解できないヤツだと思っていたけれど、益々もって解らなくなったな。そういえばお前、ピアノの調子がイマイチだと言っていてよな。診てもらったらどうだ?」

「ん……ツテがないんだよな。話したこともないし」

「ミヒャエル、BALでバイトしているミヒャエルに、口利きしてもらえば? ミヒャエルなら気さくなヤツだし、話しかけやすいだろ」

「ああ、いいね」





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