「庭の千草」狂詩曲

Chapter2ーーークレアSide/君の指は

「先生に、挨拶しにきたんですってね」

宗月に演奏曲リストを渡して、訊ねた。

宗月はユリウスと一緒に、屋上に居た。

私は楽譜を捲り始めた宗月に、「あの……」と躊躇いがちに声をかけた。

「選曲したのは、ダフィット教授?」

「ええ。先生が全曲、決めたの」

「そう……」

宗月は顎に手を当て数秒、唸り首を傾げた。

「この選曲だと全曲、超絶技巧曲だけど君は納得したのかな」

宗月の目が私の目をみつめて離さない。

「納得するもなにも、『これを演奏しなさい』と渡されたのよ。先生はいつもそうだし、先生の言うことは間違いないもの」

宗月はフーーッと息を吐いた。

「ユリウス、教授はお前にもそんなふうなのか」

「いや、俺はまだ教授のレッスンを受け始めて1ヶ月くらいだから、教授とも数回しか話していない」

「そうかーー。クレア、このリストでは指を酷使する」
< 49 / 359 >

この作品をシェア

pagetop