「庭の千草」狂詩曲
「そんなに難しい選曲か?」

ユリウスが楽譜を覗きこんだ。

「これはーープロのヴァイオリニストならまだしも、学生が1ヶ月で仕上げられる選曲リストか? 俺なら、却下する」

「だろ。クレア、一緒にダフィット教授に相談しないか」

「無理よ。先生は1度決めたことを絶対に曲げないもの」

「でも……」

「先生の言うことは絶対なの。先生が黒と言えば黒だし、白と言えば白なの」

「クレア。俺は納得できない」

「先生が居なかったら、先生に会わなかったら私は此処で学ぶこともできなかったわ。此処に通うまでヴァイオリンだって中古の安物で……」

宗月は日本の音楽大学からの留学生で、裕福な家庭に育った人という感じがした。

実際に宗月が17歳で留学し、ピアノコンクールで入賞し、ピアノ科のミラン教授に見出だされたという話も聞いていた。

私には祖母しかいない。
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