「庭の千草」狂詩曲
演奏中や演奏後、クレアが指の痛みに顔をしかめるのを見るたびに、胸が傷んだ。

痛みを鎮める軟膏を塗ったり、湿布を貼ってやったりもした。

クレアが医師から痛み止めの薬を処方されていて、服用しているのも知っている。

コンクールの課題曲は1次も2次も、難易度も中級から上級。

付け焼き刃で弾きこなせる曲ではなかった。

クレアはそれでも根をあげなかった。

痛みに耐えながら、懸命に歯を食い縛り練習した。

俺はクレアの演奏に、俺のでき得る全てをかけて伴奏した。

一緒に解釈を考え意見が白熱し、練習しながら疲れ果て寝落ちしてしまうこともあった。

コンサートのリハーサルに慌てて出かけたこともある。

俺がクレアと練習できない時は、ダフィット教授がクレアのレッスンをつけていることは、重々承知していた。

ユリウスとエィリッヒが俺たちを心配し、練習の応援を買って出た。
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