「庭の千草」狂詩曲
悔しくて仕方なかった。

クレアと演奏曲のリストを上げた中に、クレアが特に推したのが、エルンスト「夏の名残りの薔薇『庭の千草』」だった。

多くの著名なヴァイオリニストたちが、こぞって「最も難曲」だと言う超絶技巧曲だ。

学内コンクールの最後にも演奏した「夏の名残りの薔薇」は、クレア自身も最も練習した曲だった。

俺が言った「審査員がぐうの音も出ないほどの演奏」をと云う言葉が、クレアの闘争心に火を灯したのだろうと思う。

「必ず勝つ」

クレアはダフィット教授に宣言して、コンクールに挑んでいる。

その先を見据えて、コンクールの演奏をしている。

並大抵の決意ではない。

1次のピアノ伴奏を弾きながら、ひしひしと感じた。

「教授、俺も全力で演奏します」

それが俺にできる最善の援護だと思った。

「よろしく頼む」

教授の素直な反応に面食らった。
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