「庭の千草」狂詩曲
浅く速い乱れた息遣いで、苦しそうに喘ぐばかりだ。

ユリウスは詩月の背中をひたすらに擦った。

ユリウスが詩月の舌下に入れた錠剤は効いているのかどうかさえ、ユリウスには判らない。

エィリッヒが息咳切って、医師と看護師を連れて処置室に戻ってきた時、詩月のシャツの背は汗でグッショリ濡れていた。

医師は詩月の胸に聴診器を当て、脈と胸の音を確認した。

「ベッドに」

医師は落ち着いた様子で静かに言うと、看護師に指示を出した。

アルコール綿で詩月の手首を拭き、細い管の着いた針を事も無げに軽々と刺した。

「鎮静剤です」

看護師がベッドの上の壁に管を取りつけ、バルブを捻り、伸びた管の先に着いた酸素マスクを詩月の口に当てた。

カルテのファイルを観ながら、手慣れた作業だとでも言うように、処置をしていく。

「何か衝撃を受けるような事でも?」

医師はユリウスと詩月を交互に見て訊ねた。
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