「庭の千草」狂詩曲
コンテスタントは出番を待ちながら、ヴァイオリンを握りしめ震えていた。

クレアはヴァイオリンを胸に抱えこんだ。

「宗月……『シレーナ』のせいではないわよね」

不安げな顔を向ける。

「当然だ」

コンテスタントがクレアを睨みつけた。

「ローレライ」

ポツリ呟いた。

「演奏できない言い訳にでもするのか」

俺はつい口走った。

クレアが俺の腕を引き、首を横に振った。

俺たちは舞台裏から静かに、通路に向かった。

「宗月。今日、『シレーナ』と1つになれた。そう思ったの」

クレアは目を輝かせた。

「俺もピアノ伴奏していて気持ちよかった」

俺たちは観客席には行かず、ロビーに出た。

セミファイナルの結果発表までの間、演奏の余韻に浸った。

「先生はちゃんと聴いてくれたかな」

クレアの言葉にガッカリする。

ダフィット教授しか頭に無いのかと……。

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