「庭の千草」狂詩曲
宗月が思い出したくないことを思い出させる。

「今はコンクールと先生のことだけ考えたいの」

「はあ……」

宗月はまたかと言いたげに、ひと際長いため息をついた。

生意気な女だと思ったに違いない。

「明日は楽譜をさらう程度に」

「ええ、今さらジタバタしないわ」

「出掛けてみるのも良い息抜きになる」

「そうね。お婆さまの様子を観にいってみるわ」

「車が入り用なら……」

「ありがとう。でも1人でのんびり行ってくるわ」

祖母は75歳を越えて、認知症も始まった。

老人養護施設に入所して5年目だ。

わたしのことが解らない時もある。

インフルエンザが流行した後、施設に入所した高齢者の認知症が進行したと言く話も聞いた。

面会時間の制限で、家族に会って話をする回数や時間が減っているためだと言われる。

祖母も例外に漏れず、認知症が進行しているようだ。
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