嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「イジィ、こちら、いらっしゃい」

 手招きをされて、同じ長椅子に腰かけた。アメジストのような瞳に魅入られて、イジドーラは視線を外せなくなる。

「わるいようにはしないから、かくさないで言ってごらんなさい」
「セレスティーヌ様……」

 頬を撫でてくる指先に、すべてを吐き出したい衝動に駆られた。今までもセレスティーヌはイジドーラのために、様々なアドバイスをくれている。それは社交での振る舞いや、メイク・ファッションに至るまで多岐に渡っていた。よく通う令嬢たちの中でも、どうしてだかイジドーラが王妃のいちばんのお気に入りのようだった。

 加えて言うと、ザイデル家の思惑とは裏腹に、イジドーラ自身も王妃を信奉しつつあった。それは失われたやさしかった姉の幻影を、セレスティーヌに求めていたからかもしれない。

 気づくとすがる思いでイジドーラは、姉の実情と胸の内をすべて吐露していた。(つたな)いアランシーヌ語を交えての告白が、どこまで伝わったのか分からない。しかしセレスティーヌは得心がいったように深く頷いた。

「つれてらっしゃい」
「え?」
「そのこ、しばらく、ここにおくといい」
「カイを……王妃様の離宮に、ですか……?」
「そう、イジィもいっしょにね」


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