嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
セレスティーヌのひと声で、イジドーラはカイとともに王妃の離宮で過ごすことになった。
王妃の命であったものの、デルプフェルト侯爵はあっさりカイを送り出した。自分の子供に関心がないというより、刻々と変化する状況を、傍観者として楽しんでいるかのようにイジドーラには感じられた。
離宮に連れてきたカイはあまりしゃべらず、日がな一日、人形のようにじっとしていた。笑うこともなく、物音に怯え、周囲を伺うように自分を押し殺す。
そんな様子にいたたまれなくなる。王子や王女たちが同じ年頃の時は、目も離せないくらいのやんちゃぶりだった。環境の変化のストレスもあるだろう。そう思ってイジドーラは根気よくカイに向き合いやさしく接していった。
少しずつカイに笑顔が戻ってきたころ、デルプフェルト家からベアトリーセの誕生日の茶会の招待状がイジドーラに届いた。侍女の報告では最近の姉は、以前に戻ったかのように穏やかに過ごしているらしい。慈善事業にいそしみ、神殿へも頻繁に通っているとのことだった。
「イジドーラさま、どこかいく?」
「カイ……」
不安げに見上げてくるカイを胸に抱きしめた。夜に一緒に眠っていると、カイはよく泣きながら目を覚ました。母を呼び、イジドーラの顔を見てはすこし落胆の顔をする。
この子は母親の愛情に飢えている。どんなに努力したとしても、自分は姉の代わりにはなれないのだ。
「カイはお母様に会いたい……?」
ちいさな唇を噛みしめて、カイはしばらくののち僅かに頷いた。
「かあさま、あいたい」
「そう……では一緒に帰りましょう。お母様のいるおうちへ、ね」
うれしそうにはにかんだカイを、イジドーラはもう一度強く抱きしめた。
王妃の命であったものの、デルプフェルト侯爵はあっさりカイを送り出した。自分の子供に関心がないというより、刻々と変化する状況を、傍観者として楽しんでいるかのようにイジドーラには感じられた。
離宮に連れてきたカイはあまりしゃべらず、日がな一日、人形のようにじっとしていた。笑うこともなく、物音に怯え、周囲を伺うように自分を押し殺す。
そんな様子にいたたまれなくなる。王子や王女たちが同じ年頃の時は、目も離せないくらいのやんちゃぶりだった。環境の変化のストレスもあるだろう。そう思ってイジドーラは根気よくカイに向き合いやさしく接していった。
少しずつカイに笑顔が戻ってきたころ、デルプフェルト家からベアトリーセの誕生日の茶会の招待状がイジドーラに届いた。侍女の報告では最近の姉は、以前に戻ったかのように穏やかに過ごしているらしい。慈善事業にいそしみ、神殿へも頻繁に通っているとのことだった。
「イジドーラさま、どこかいく?」
「カイ……」
不安げに見上げてくるカイを胸に抱きしめた。夜に一緒に眠っていると、カイはよく泣きながら目を覚ました。母を呼び、イジドーラの顔を見てはすこし落胆の顔をする。
この子は母親の愛情に飢えている。どんなに努力したとしても、自分は姉の代わりにはなれないのだ。
「カイはお母様に会いたい……?」
ちいさな唇を噛みしめて、カイはしばらくののち僅かに頷いた。
「かあさま、あいたい」
「そう……では一緒に帰りましょう。お母様のいるおうちへ、ね」
うれしそうにはにかんだカイを、イジドーラはもう一度強く抱きしめた。