嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
出迎えたベアトリーセは報告通りに落ち着いた様子だった。嫁ぐ前と同じ慈悲深い笑顔でいる姉を前にして、イジドーラは胸をなでおろした。カイを連れて帰ることに不安もあったが、これならふたりを会わせても大丈夫だろう。
「ほら、恥ずかしがってないでこちらにいらっしゃい」
手招きをしてカイを呼び寄せた。目の前にまで来たカイは、もじもじしながらベアトリーセに一輪の花を差し出した。
「かあさまに、これ」
「いやぁあ――……っ!」
手にした花は無残に薙ぎ払われた。おぞましい物を見る瞳で、ベアトリーセはカイから数歩後退った。
「どうして……悪い夢だと思ったのに……どうして、どうしてお前がまだここにいるというの!」
「お姉様!」
カイに向けて手を振り上げたベアトリーセを、必死の思いで押しとどめる。騒然となる中、使用人がカイを別部屋へと連れていった。泣きつかれたカイを腕に抱き、イジドーラは再び王妃の離宮へ戻るしかなかった。
それからというもの、カイは母親に会いたいとは言わなくなった。冷めたまなざしをするようになったのもこの頃からだ。それでもイジドーラに対してだけ、時折気を遣ったような笑顔を作って見せる。
カイは王妃の離宮でイジドーラとともにいたり、侯爵家に返されたりを繰り返した。イジドーラもずっと王妃の離宮に滞在しているわけにもいかず、カイにかかり切りではいられなかった。
「ほら、恥ずかしがってないでこちらにいらっしゃい」
手招きをしてカイを呼び寄せた。目の前にまで来たカイは、もじもじしながらベアトリーセに一輪の花を差し出した。
「かあさまに、これ」
「いやぁあ――……っ!」
手にした花は無残に薙ぎ払われた。おぞましい物を見る瞳で、ベアトリーセはカイから数歩後退った。
「どうして……悪い夢だと思ったのに……どうして、どうしてお前がまだここにいるというの!」
「お姉様!」
カイに向けて手を振り上げたベアトリーセを、必死の思いで押しとどめる。騒然となる中、使用人がカイを別部屋へと連れていった。泣きつかれたカイを腕に抱き、イジドーラは再び王妃の離宮へ戻るしかなかった。
それからというもの、カイは母親に会いたいとは言わなくなった。冷めたまなざしをするようになったのもこの頃からだ。それでもイジドーラに対してだけ、時折気を遣ったような笑顔を作って見せる。
カイは王妃の離宮でイジドーラとともにいたり、侯爵家に返されたりを繰り返した。イジドーラもずっと王妃の離宮に滞在しているわけにもいかず、カイにかかり切りではいられなかった。