嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 天井を見上げてから、ベッティはルチアの手を引き立ち上がらせる。そこではっとしたように、ルチアは抱えていた服で体を覆い隠した。

「み、見た?」
「……お体のあざのことですかぁ? それならベッティ、とっくに知っておりますよぅ」
「ええっ!?」
「わざとではございませんよぅ、偶然見てしまっただけですぅ」
「そんな……」

 不信感もあらわなルチアに、どうしたものかと言葉を探す。ここで上手く話を進めないと、カイに怒られてしまうかもしれない。

「誰にも話したりはしておりませんのでご安心くださいませぇ。それにぃ……」

 カイにだけは報告したが、すでに知っていたようなのでベッティが伝えたうちには入らないだろう。

「ルチア様のようなあざをお持ちの方を、ベッティはほかにもたくさん存じ上げておりますのでぇ」
「え? ほかにも?」
「リーゼロッテ様もそうですしぃ、アンネマリー王妃殿下もあざをお持ちですねぇ」
「本当に?」
「はいぃ、みな様それぞれ場所は違っておりますがぁ、ルチア様とおなじく丸くって模様のような綺麗なあざをお持ちですよぅ」

 言いながら服を取り上げ、後ろから着せにかかる。今さら抵抗しても無駄だと分かったのか、ルチアもおとなしく(そで)を通してきた。

「他人に見られるのがお嫌でしたらぁ、このベッティをご指名くださいましぃ。ルチア様のためにいつだってご奉仕させていただきますよぅ」
「分かったわ……何かあった時はベッティに頼むことにする」
「ぜひそうしてくださいませぇ」

 ベッティは思わずほくそ笑んだ。これで湯あみもマッサージもし放題にさせてくれるだろう。そうすれば、ルチアが完全に陥落(かんらく)するのも時間の問題だ。

「あるぇ? ルチア様、()()()()()あざがおありだったんですねぇ」
「え? ベッティが知ってたのはこっちだけ?」

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