嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-

第18話 想い、焦がれて

 午後の温かな日差しが降り注ぐ中、小鬼たちがそこかしこで駆け回っている。ジークヴァルト以外とサロンでお茶をするのは、随分と久しぶりのことだ。

「体調はどう? そろそろ移動の疲れも取れたかしら?」
「はい、すっかり元気です。おかげさまで毎日良く眠れています」
「ならよかったわ」

 リーゼロッテが微笑むと、ルチアもはにかむような笑顔を向けてきた。それがなんとも可愛らしくて、リーゼロッテの口元がさらに(ほころ)んだ。

(ルチア様、ずいぶんと打ち解けてくれたみたい)

 以前は見えない壁を張られているように感じていたが、近ごろの彼女はとても柔らかい雰囲気だ。
 壁際に立つカークに見守られる中、たあいのないおしゃべりを続ける。しばらくすると小鬼が一匹、ルチアの背後からひょっこりと現れた。

「あら? その子、まだルチア様の元にいたのね」

 リーゼロッテと目が合うと、小鬼はギリギリまで近寄ってきた。きゅるんと瞳を輝かせ、乞うように腕を伸ばしてくる。

「ちょっとだけよ?」

 ほんの少しだけ緑の力を振り撒くと、小鬼はうれしそうにぴょんこぴょんことその場で跳ねた。

「あの、その緑の光は何なんですか?」
「これ? これは浄化の光よ」
「ジョウカノヒカリ……?」

 意味を探して首をひねったルチアの前で、手のひらの上に力を集めて見せた。凝縮させるほど、緑は輝きを増していく。

(我ながら上手に扱えるようになったものね)

 内心どや顔になるが、あまりやりすぎると異形が過剰に引き寄せられてくる。あとでジークヴァルトに何を言われるか分からないので、リーゼロッテは貯めた力をすぐさま(ほど)いた。

「これにはね、異形の者を(はら)う力があるの」
「はらう……? 異形を消すってことですか?」

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