嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
踏み込みにかかったツェツィーリアの足をひょいと避けると、グロースクロイツは時計を見やる。
「そろそろお時間ですね、広間へまいりましょうか。ツェツィーお嬢様、よかったですね。いよいよ心待ちにしていたルカ様とのファーストダンスですよ」
「馬鹿言わないで。わたくし、それほどたのしみになんかしてないもの」
「何をおっしゃいます。ルカ様に恥をかかせないようにと、あれほど毎日ダンスのレッスンに励んでおられたではありませんか」
「そ、そんな理由で練習していたんじゃないわ! レルナー公爵家の令嬢として当然の努力でしょう!? ルカが勘違いするようなこと言わないで」
「ツェツィー様……」
真剣な顔で見つめられ、バツが悪そうにツェツィーリアは顔をそらした。
「わたしこそツェツィー様の恥になるような振る舞いはしないと誓います。どうかその手を取る許可をください」
「お義父様がお決めになったのだから、わたくしの許可など必要ないでしょう?」
「いいえ。わたしはツェツィー様に心から望まれたいのです。どうか今一度、ツェツィー様のお許しを」
差し出された手に、不服そうにしつつもツェツィーリアは自身のそれを添えた。
「い、いいわ。そこまで言うなら許してあげる。だけどわたくしの足を踏んだりしたら、絶対に承知しないんだから」
「この命に代えましても!」
「そんなことで命を懸けないで! ルカはわたくしをしあわせにするのでしょう?」
「はい! この生涯をかけてツェツィー様をしあわせにすると誓います!」
「わたくしを妻にしたいなら、そのくらい当然よ」
つんと顔をそらすと、ツェツィーリアはルカのエスコートに従った。生温かい目のグロースクロイツがそのあとを追っていく。
「……ルカったら本当に積極的ね」
言葉の足りないジークヴァルトと比べると雲泥の差だ。ちょっぴりツェツィーリアがうらやましく感じてしまった。
「ははは、若いころの自分を思い出しますよ。わたしも結婚前にクリスタを誰にもとられたくなくて、必死になっていたものです」
「もう、あなたったらこんなときに……」
顔を赤くしたクリスタに、フーゴは慈しみの目を向けた。
「今宵もその手を取る許可をいただけますか? 奥様」
「仕方のない人。特別に許して差し上げますわ」
「そろそろお時間ですね、広間へまいりましょうか。ツェツィーお嬢様、よかったですね。いよいよ心待ちにしていたルカ様とのファーストダンスですよ」
「馬鹿言わないで。わたくし、それほどたのしみになんかしてないもの」
「何をおっしゃいます。ルカ様に恥をかかせないようにと、あれほど毎日ダンスのレッスンに励んでおられたではありませんか」
「そ、そんな理由で練習していたんじゃないわ! レルナー公爵家の令嬢として当然の努力でしょう!? ルカが勘違いするようなこと言わないで」
「ツェツィー様……」
真剣な顔で見つめられ、バツが悪そうにツェツィーリアは顔をそらした。
「わたしこそツェツィー様の恥になるような振る舞いはしないと誓います。どうかその手を取る許可をください」
「お義父様がお決めになったのだから、わたくしの許可など必要ないでしょう?」
「いいえ。わたしはツェツィー様に心から望まれたいのです。どうか今一度、ツェツィー様のお許しを」
差し出された手に、不服そうにしつつもツェツィーリアは自身のそれを添えた。
「い、いいわ。そこまで言うなら許してあげる。だけどわたくしの足を踏んだりしたら、絶対に承知しないんだから」
「この命に代えましても!」
「そんなことで命を懸けないで! ルカはわたくしをしあわせにするのでしょう?」
「はい! この生涯をかけてツェツィー様をしあわせにすると誓います!」
「わたくしを妻にしたいなら、そのくらい当然よ」
つんと顔をそらすと、ツェツィーリアはルカのエスコートに従った。生温かい目のグロースクロイツがそのあとを追っていく。
「……ルカったら本当に積極的ね」
言葉の足りないジークヴァルトと比べると雲泥の差だ。ちょっぴりツェツィーリアがうらやましく感じてしまった。
「ははは、若いころの自分を思い出しますよ。わたしも結婚前にクリスタを誰にもとられたくなくて、必死になっていたものです」
「もう、あなたったらこんなときに……」
顔を赤くしたクリスタに、フーゴは慈しみの目を向けた。
「今宵もその手を取る許可をいただけますか? 奥様」
「仕方のない人。特別に許して差し上げますわ」