嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「確かめるも何も今回は正式な公務での公爵家訪問なんですよぅ。客人であるルチア様が立ち会える筋合いはないのではぁ?」
「だ、だけど、もてなしのお茶の時間には呼ばれるかもしれないじゃない」
「ああ、そうですねぇ。リーゼロッテ様ならそれくらいはしてくるかもですねぇ」
気の抜けた返事に背を向けて、小さなテラスの扉を開く。凍てつくような寒さの中、柵から身を乗り出し雪の庭を見下ろした。
「また逃げ出したりしないでくださいましねぇ」
「そんなことするわけないでしょ」
むっとして思わず口調がトゲトゲしくなる。そんなルチアの肩に、ベッティは厚手のショールをかけてきた。
「早く中にお戻りくださいませぇ。ここから覗き込んでても本当に何も見えませんからぁ。リーゼロッテ様にお呼ばれするかもなんですよねぇ? その前に熱でも出したら大変ですよぅ」
素直には頷けなくて、ぷいと顔を背けた。ルチアに付き合うように、ベッティは部屋に戻ることもせず後ろで白い息を吐いている。結局寒さに耐えかねて、すごすごと温かな部屋へと出戻った。
「今、あったかいもの淹れますねぇ」
弾むような声で言われ、ルチアはおとなしく定位置のソファへと身を沈めた。ほどなくして目の前のテーブルに芳しい紅茶が差し出されてくる。
無言のままカップを手に取った。丸い水面に揺れる自分の顔は、ベッティが言うほど可愛くは思えない。
「お飲みにならないんですかぁ?」
「だって紅が落ちちゃうもの」
「ふふー、ルチア様はほんとお可愛らしいですねぇ。ご心配なさらなくてもベッティがちゃんと付け直してさしあげますよぅ」
頷いて、今度は素直に口をつけた。スパイスでも入っているのか、今日の紅茶はなかなか刺激的な味わいだ。
「あったかい……」
「ルチア様はぁやっぱり笑っていた方がよろしいですねぇ」
「よろしいって、どうよろしいのよ?」
「その方がお可愛らしく見えるってことですよぅ」
「超絶?」
思わずそう聞き返す。
「はいぃ、笑っているルチア様は、ちょうっぜつっ、お可愛らしいですぅ」
「もう、何よそれっ」
堪えきれずぷっと大きくふき出した。大真面目に持ち上げてくるベッティを見て、なんだか力が抜けてくる。
このあとルチアはそわそわしつつも、部屋の中でおとなしく待機を続けた。
「だ、だけど、もてなしのお茶の時間には呼ばれるかもしれないじゃない」
「ああ、そうですねぇ。リーゼロッテ様ならそれくらいはしてくるかもですねぇ」
気の抜けた返事に背を向けて、小さなテラスの扉を開く。凍てつくような寒さの中、柵から身を乗り出し雪の庭を見下ろした。
「また逃げ出したりしないでくださいましねぇ」
「そんなことするわけないでしょ」
むっとして思わず口調がトゲトゲしくなる。そんなルチアの肩に、ベッティは厚手のショールをかけてきた。
「早く中にお戻りくださいませぇ。ここから覗き込んでても本当に何も見えませんからぁ。リーゼロッテ様にお呼ばれするかもなんですよねぇ? その前に熱でも出したら大変ですよぅ」
素直には頷けなくて、ぷいと顔を背けた。ルチアに付き合うように、ベッティは部屋に戻ることもせず後ろで白い息を吐いている。結局寒さに耐えかねて、すごすごと温かな部屋へと出戻った。
「今、あったかいもの淹れますねぇ」
弾むような声で言われ、ルチアはおとなしく定位置のソファへと身を沈めた。ほどなくして目の前のテーブルに芳しい紅茶が差し出されてくる。
無言のままカップを手に取った。丸い水面に揺れる自分の顔は、ベッティが言うほど可愛くは思えない。
「お飲みにならないんですかぁ?」
「だって紅が落ちちゃうもの」
「ふふー、ルチア様はほんとお可愛らしいですねぇ。ご心配なさらなくてもベッティがちゃんと付け直してさしあげますよぅ」
頷いて、今度は素直に口をつけた。スパイスでも入っているのか、今日の紅茶はなかなか刺激的な味わいだ。
「あったかい……」
「ルチア様はぁやっぱり笑っていた方がよろしいですねぇ」
「よろしいって、どうよろしいのよ?」
「その方がお可愛らしく見えるってことですよぅ」
「超絶?」
思わずそう聞き返す。
「はいぃ、笑っているルチア様は、ちょうっぜつっ、お可愛らしいですぅ」
「もう、何よそれっ」
堪えきれずぷっと大きくふき出した。大真面目に持ち上げてくるベッティを見て、なんだか力が抜けてくる。
このあとルチアはそわそわしつつも、部屋の中でおとなしく待機を続けた。