嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
あの日以来、ルチアの元気は無くなっていく一方だ。お茶に呼んでも心ここにあらずな状態で、時折我に返っては、無理に作った笑みを向けてくる。
そんなルチアのために、リーゼロッテは急遽お茶会を催すことにした。カイを招待すれば、今度こそふたりを会わせてやれる。そう画策し、騎士仲間としてエーミールやニコラウスにも招待状を送った。この面子なら客人の中にカイがいたとしても、変な噂が立つことはないはずだ。
(なのにカイ様にだけ断られてしまったのよね……)
糠喜びをさせないようにと、ルチアには内緒にしておいたのは賢明な判断だった。それにベッティにもお願いされてしまった。ルチアの名誉に傷をつけたくないので、カイへの恋心は誰にも黙っていてくれと。
そうは言ってもルチアの意気消沈ぶりは、見ていて胸が痛くなる。何かしてあげたくなるのが人情というものだろう。
(チャラいキャラが真実の愛に目覚めて、ヒロインを溺愛しちゃう話なんて結構王道だもの)
クズだった男が一途になって、ヒロインに対してだけヤンデレ化する物語など正直言って大好物過ぎる。イベントを重ねるごとに、戸惑いながらもヒーローはヒロインに惹かれていくのだ。そのイベントが生じなければ、ストーリーは進まない。
決して面白がっているつもりはないが、そんなふうにルチアの恋が進展すればいいと、リーゼロッテは心の底から願っていた。
結局今回は空振りに終わってしまったが、お茶会自体ルチアの気晴らしにはなるだろう。
「招待した以上、気分良く帰ってもらうのが女主人としての務めよね」
気合いを入れ、客人の到着を待つ。最初にやってきたのは、エーミールにエスコートされたグレーデン侯爵夫人のカミラだった。
「ようこそ、エーミール様、カミラ様」
「リーゼロッテ様、この度はご招待ありがとうございます」
「息子共々ご招待してくださって光栄ですわ」
こんなイケメン貴公子に育った息子と連れ立って歩けるなど、羨ましいことこの上ない。いつかは自分もカミラのようになれるかしらと、つい夢見てしまうリーゼロッテだ。
「エルヴィンはまだ来てないようね?」
「お呼びですか? 母上」
もうひとりの息子を探すカミラに応えるように、エーミールの兄エルヴィンが現れた。その横には子爵令嬢のクラーラがおどおどと立っている。
あの日以来、ルチアの元気は無くなっていく一方だ。お茶に呼んでも心ここにあらずな状態で、時折我に返っては、無理に作った笑みを向けてくる。
そんなルチアのために、リーゼロッテは急遽お茶会を催すことにした。カイを招待すれば、今度こそふたりを会わせてやれる。そう画策し、騎士仲間としてエーミールやニコラウスにも招待状を送った。この面子なら客人の中にカイがいたとしても、変な噂が立つことはないはずだ。
(なのにカイ様にだけ断られてしまったのよね……)
糠喜びをさせないようにと、ルチアには内緒にしておいたのは賢明な判断だった。それにベッティにもお願いされてしまった。ルチアの名誉に傷をつけたくないので、カイへの恋心は誰にも黙っていてくれと。
そうは言ってもルチアの意気消沈ぶりは、見ていて胸が痛くなる。何かしてあげたくなるのが人情というものだろう。
(チャラいキャラが真実の愛に目覚めて、ヒロインを溺愛しちゃう話なんて結構王道だもの)
クズだった男が一途になって、ヒロインに対してだけヤンデレ化する物語など正直言って大好物過ぎる。イベントを重ねるごとに、戸惑いながらもヒーローはヒロインに惹かれていくのだ。そのイベントが生じなければ、ストーリーは進まない。
決して面白がっているつもりはないが、そんなふうにルチアの恋が進展すればいいと、リーゼロッテは心の底から願っていた。
結局今回は空振りに終わってしまったが、お茶会自体ルチアの気晴らしにはなるだろう。
「招待した以上、気分良く帰ってもらうのが女主人としての務めよね」
気合いを入れ、客人の到着を待つ。最初にやってきたのは、エーミールにエスコートされたグレーデン侯爵夫人のカミラだった。
「ようこそ、エーミール様、カミラ様」
「リーゼロッテ様、この度はご招待ありがとうございます」
「息子共々ご招待してくださって光栄ですわ」
こんなイケメン貴公子に育った息子と連れ立って歩けるなど、羨ましいことこの上ない。いつかは自分もカミラのようになれるかしらと、つい夢見てしまうリーゼロッテだ。
「エルヴィンはまだ来てないようね?」
「お呼びですか? 母上」
もうひとりの息子を探すカミラに応えるように、エーミールの兄エルヴィンが現れた。その横には子爵令嬢のクラーラがおどおどと立っている。