嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
義父のブルーメ子爵に連れられて、たくさんの貴族に声をかけて回った。ひと所にとどまって、おしゃべりに興じている者も多くいる。そんな彼らがうらやましくて仕方がない。
怪我の療養後ということもあり、今回は踊るのは免除になった。そのことだけが僥倖だ。
(カイとだったらよろこんで踊るのに)
騎士の姿を見かけるたびに、カイを求めて懸命に目を凝らした。ハインリヒ王の従弟である彼は、騎士としても階級が高いのかもしれない。どれだけ探しても、広間を警護する騎士の中にはいないようだった。
「ブルーメ子爵、ご無沙汰しております」
「おお、ヨハン・カーク殿。それにヤスミン・キュプカー嬢、今日はおふたりで挨拶周りですかな?」
「はい、夏には彼女を妻に迎える予定でして」
「それはめでたい。カーク子爵家も安泰のご様子、何よりですな。さ、ルチアも挨拶を」
「カーク様、ヤスミン様、おふたりのご婚約、改めてお慶び申し上げます」
ルチアの言葉にヤスミンがしあわせいっぱいに微笑み返す。
「ありがとう、ルチア様。お式には招待させていただきますわ」
「よろこんで出席します」
「ふふ、わたくしヨハンと一緒になれること、今から本当に待ち遠しくて」
絡めた腕をぎゅっとして、ヤスミンはヨハンにもたれかかった。真っ赤になりながら、ヨハンの手が落ち着きなくわちゃわちゃ動き出す。
「これはこれは。初々しくてわしの目には眩しすぎますな」
「いやっお見苦しくて申し訳ないっ。ヤヤヤヤスミン、もうちょっと適切な距離をだなっ」
「婚約者なんですもの。このくらい普通の距離ですわ」
「そ、そうか!?」
「何ともうらやましい限り。ヨハン殿は将来ヤスミン嬢に頭が上がらなくなりそうですな」
ひとしきり笑い合ったあと、ヤスミンたちはルチアの元を離れていった。仲睦まじげに語らう後ろ姿を、ルチアの視線が追っていく。
周囲の貴族を見回すと、自分のように父親にエスコートされている令嬢は少なく思えた。遠目にエルヴィンと連れ添うクラーラがいて、婚約したばかりのふたりも親密そうに寄り添っている。
(みんな、しあわせそうでいいな……)
義父のブルーメ子爵に連れられて、たくさんの貴族に声をかけて回った。ひと所にとどまって、おしゃべりに興じている者も多くいる。そんな彼らがうらやましくて仕方がない。
怪我の療養後ということもあり、今回は踊るのは免除になった。そのことだけが僥倖だ。
(カイとだったらよろこんで踊るのに)
騎士の姿を見かけるたびに、カイを求めて懸命に目を凝らした。ハインリヒ王の従弟である彼は、騎士としても階級が高いのかもしれない。どれだけ探しても、広間を警護する騎士の中にはいないようだった。
「ブルーメ子爵、ご無沙汰しております」
「おお、ヨハン・カーク殿。それにヤスミン・キュプカー嬢、今日はおふたりで挨拶周りですかな?」
「はい、夏には彼女を妻に迎える予定でして」
「それはめでたい。カーク子爵家も安泰のご様子、何よりですな。さ、ルチアも挨拶を」
「カーク様、ヤスミン様、おふたりのご婚約、改めてお慶び申し上げます」
ルチアの言葉にヤスミンがしあわせいっぱいに微笑み返す。
「ありがとう、ルチア様。お式には招待させていただきますわ」
「よろこんで出席します」
「ふふ、わたくしヨハンと一緒になれること、今から本当に待ち遠しくて」
絡めた腕をぎゅっとして、ヤスミンはヨハンにもたれかかった。真っ赤になりながら、ヨハンの手が落ち着きなくわちゃわちゃ動き出す。
「これはこれは。初々しくてわしの目には眩しすぎますな」
「いやっお見苦しくて申し訳ないっ。ヤヤヤヤスミン、もうちょっと適切な距離をだなっ」
「婚約者なんですもの。このくらい普通の距離ですわ」
「そ、そうか!?」
「何ともうらやましい限り。ヨハン殿は将来ヤスミン嬢に頭が上がらなくなりそうですな」
ひとしきり笑い合ったあと、ヤスミンたちはルチアの元を離れていった。仲睦まじげに語らう後ろ姿を、ルチアの視線が追っていく。
周囲の貴族を見回すと、自分のように父親にエスコートされている令嬢は少なく思えた。遠目にエルヴィンと連れ添うクラーラがいて、婚約したばかりのふたりも親密そうに寄り添っている。
(みんな、しあわせそうでいいな……)