嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「ずっと欲求不満だった? もしかして自分で自分を慰めていたんじゃない?」

 吐息とともに耳元で囁くと、ルチアの頬が面白いほど真っ赤に染まった。

「図星だった? ねぇ、意外と自分でも気持ち良くなれたでしょ?」
「……カイじゃなきゃ満足できないもの」

 唇を噛みしめルチアはぽつりとつぶやいた。かと思うと、首筋にしがみついてカイに口づけをねだってくる。
 塗られた紅がはみ出すほどに、激しい口づけを交わし合う。

「上手だよ、ルチア」
「んっ、ふ、カイ……」

 呼吸も荒く互いの熱を分け合っていく。
 その合間にルチアが懇願するように聞いて来る。

「ね、カイ……さっき言ってたの、うそ、なんでしょう?」
「さっきって?」
「あ、あのひとがまた来たら……ってはなし」

 終わった話を蒸し返されて、カイは一度キスを止めた。
 ふっと意地悪い笑いを浮かべ、すぐに隙間なく口づける。

「それってさ、ルチアには関係ないことじゃない?」
「かんけ、なくなぃ……こんなこと、ほかのだれともしちゃいやっなのっ」

 唇を離してルチアは叫んだ。
 そんなルチアの髪に顔をうずめ、カイは耳裏に唇を寄せた。

「ねぇ、ルチア知ってる? 下の具合ってさ、女性(ひと)によって随分と違うんだ」

 わざとのように、膝をぐっとルチアの足の間に押し付ける。

「男の方もかなり違うから、ルチアもいろんな奴と試してみるといいよ」
「な……!」

 顔を上げたルチアと、至近距離で見つめ合う。見開かれた瞳には、先ほど以上に美しい怒りの炎が揺らめいていた。
 身をよじってルチアはカイを強く突き飛ばした。繋がりはあっさり解け、離れた分だけ互いの熱が消えていく。

「カイの馬鹿! カイなんて大っ嫌い……!」

 (にじ)む涙をそのままに、ルチアは部屋を飛び出していった。
 やれやれと肩を竦め、カイは(わら)いながらその背を黙って見送った。

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