嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「飲み終わったら落ち着くと思うから。そうしたらリーゼにも子供たちに会わせてあげるわね。じゃあハインリヒ、行ってくるわ」
「ああ、慌てずにゆっくりあげてくるといい」

 アンネマリーが離れると、ハインリヒはすっと冷たい眼差しに戻った。急に王の仮面をつけられた気がして、リーゼロッテは緊張のあまり思わず居住まいを正した。

「双子の王子に合わせる前に、ふたりには伝えておきたいことがある」
「会わせる前に?」
「ああ、フーゲンベルク公爵家にも関わる重要なことだ」

 (いぶか)しげに問うたジークヴァルトの表情が、余計に訝しげなものとなった。無意識にリーゼロッテを抱き寄せて、眉間のしわが深くなる。

「そう警戒するな。王子にはそれぞれ託宣が降りた。ひとつは次代の王となるもの。もうひとつは龍の盾の伴侶となる託宣だ」
「龍の盾の伴侶……?」

 こてんと首を傾ける。次代の王となる託宣はともかくも、龍の盾とはジークヴァルトが受けた託宣のことだ。その伴侶はリーゼロッテであり、ハインリヒが何を言いたいのか一瞬意味が分からなかった。

「ハインリヒが言っているのは、次の龍の盾のことだろう」
「次の?」
「ああ、要はオレとお前の間にできる子供のことだ」
「ヴァルト様との子供っ!? お、王子殿下がその子の伴侶にっ⁉」
「随分と驚くな。龍の盾の伴侶として王家の者が選ばれた事例は、過去にいくつもあるだろう?」

 ハインリヒに呆れ半分に笑われる。だが “ジークヴァルトとの子供”というのが、リーゼロッテにはまずパワーワード過ぎた。動揺する気持ちを何とか押さえて、頭の中を整理する。

(そう言えばオクタヴィアも王族と結婚して男の子を生んだんだっけ)

 これまで考えもしなかったが、オクタヴィアが受けた託宣は龍の盾だったということだろう。

(龍の盾はフーゲンベルク公爵家を継ぐ者に代々降りる託宣で、その龍の盾の子供を産むのがわたしが受けた託宣で、そんでもってその子の伴侶に王子殿下が選ばれたということは……)

 思わずジークヴァルトの顔を見る。

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