嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「ではわたくしが生むヴァルト様の子は、女の子、ということでございますか?」
「そう言うことだな」

 いつかはそういう日が来るだろうとは思っていたが、まだ出来てもいない子供の話だ。それをいきなり突き付けられて、リーゼロッテにますます動揺が走った。

(しかも性別まで分かっちゃうなんて……!)

 龍の託宣の予言力、恐るべしだ。

「こ、これから会わせていただく王子殿下が未来の息子に……?」
「ああ、双子のどちらかがそうなるだろう」
「どちらかが、でございますか?」
「どういうことだ? 託宣は王子それぞれに降りたのだろう?」
「その件については双子に会えばすぐ解る」

 硬い声で返したハインリヒを前に、リーゼロッテは再びジークヴァルトと目を見合わせた。
 ほどなくしてアンネマリーの待つ子ども部屋へと通された。広く豪華な部屋に、これまた豪華なベビーベッドが置かれている。このベッドはフーゲンベルク公爵家から贈った特注の祝いの品だ。

 部屋の中にはそのほかにも貴族たちからの贈り物が所狭しと並べられていた。王妃の出産に合わせ、ほとんどの貴族は祝いの品を事前に用意していたようだ。
 財力のあるものは男児用と女児用の贈り物を、(ふところ)具合が寂しい貴族はどちらにでも贈れるようなものを準備して、みな子が生まれるのを待っていた。
 しかしいざ生まれてみたら、双子だというから貴族たちは一時騒然となった。急遽ふたり分の品を取りそろえるのに、てんやわんやの騒ぎとなってしまったらしい。

「アンネマリー、問題はないかい?」
「ええ、ぐずらずにいっぺんに飲んでくれたから。お腹いっぱいでふたりともお(ねむ)のようだわ」
「そうか。君にばかり負担をかける。代わってあげられないのがもどかしいな」
「ハインリヒとの大事な子たちですもの。わたくしは何も苦は感じないわ」
「ありがとう、アンネマリー」

 愛おしそうに抱きしめて、ハインリヒはアンネマリーの額にそっと口づけを落とした。

< 358 / 544 >

この作品をシェア

pagetop