嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「それでどちらがどちらなのかしら……?」
双子は見た目そっくりだ。聞いても区別はつきそうになかったが、ひとりは未来の王で、残るひとりはいつか授かる娘の伴侶だ。知っておきたいと思うのが親心と言うものだろう。
(それに龍のあざは授かった託宣ごとに違う形をしてるから、瓜二つでもそれで見分けがつくはずね)
リーゼロッテの問いかけに、アンネマリーが少し困った顔をした。ハインリヒの顔を伺い、どう言えばいいものかとそんな雰囲気を醸し出してくる。
「アンネマリー?」
「いや、わたしが話そう。今から言うことは他言無用だ。ふたりとも心して聞いてくれ」
何か良くない類の話だろうか。すっと王の顔となったハインリヒを前に、リーゼロッテは漠然とした不安を抱いた。
「どちらが王位を継ぎ、どちらが龍の盾の伴侶となるか……それはどちらともと言えるし、どちらでもないとも言える」
頓智問答のような言い方に、意味が分からず小首をかしげる。ジークヴァルトを見やると、同様に訝しげな顔をしていた。
「それはどういう意味だ? 双子にはそれぞれ龍から託宣が降りたのだろう?」
「確かに降りた。不確かな託宣がな」
「不確かな託宣……?」
「ああ。双子の手を見れば解る。いや、ヴァルトはそこを動くな。その位置からでも見えるだろう?」
代わりにリーゼロッテがベッドの中を覗き込んだ。見えやすいようにとアンネマリーが双子の手を差し出してくる。
「これは……」
龍のあざは手の甲にあった。しかし本来なら正円であるそれは、綺麗に半円で途切れていた。残りの半分がもう片方の手に刻まれている。
「なぜあざが半分に……?」
「ただふたつに分かれているのではない。王位に就く者のあざと、龍の盾の伴侶となる者のあざを、王子たちは半分ずつ分け合っているのだ」
「分け合って……?」
よくよく見ると左右の模様はまったく違う形をしていた。両手を合わせてみても、模様はぴったりとは重ならないようだ。しかし双子の手をクロスして並べると、正しい龍のあざの形が出来上がった。
双子は見た目そっくりだ。聞いても区別はつきそうになかったが、ひとりは未来の王で、残るひとりはいつか授かる娘の伴侶だ。知っておきたいと思うのが親心と言うものだろう。
(それに龍のあざは授かった託宣ごとに違う形をしてるから、瓜二つでもそれで見分けがつくはずね)
リーゼロッテの問いかけに、アンネマリーが少し困った顔をした。ハインリヒの顔を伺い、どう言えばいいものかとそんな雰囲気を醸し出してくる。
「アンネマリー?」
「いや、わたしが話そう。今から言うことは他言無用だ。ふたりとも心して聞いてくれ」
何か良くない類の話だろうか。すっと王の顔となったハインリヒを前に、リーゼロッテは漠然とした不安を抱いた。
「どちらが王位を継ぎ、どちらが龍の盾の伴侶となるか……それはどちらともと言えるし、どちらでもないとも言える」
頓智問答のような言い方に、意味が分からず小首をかしげる。ジークヴァルトを見やると、同様に訝しげな顔をしていた。
「それはどういう意味だ? 双子にはそれぞれ龍から託宣が降りたのだろう?」
「確かに降りた。不確かな託宣がな」
「不確かな託宣……?」
「ああ。双子の手を見れば解る。いや、ヴァルトはそこを動くな。その位置からでも見えるだろう?」
代わりにリーゼロッテがベッドの中を覗き込んだ。見えやすいようにとアンネマリーが双子の手を差し出してくる。
「これは……」
龍のあざは手の甲にあった。しかし本来なら正円であるそれは、綺麗に半円で途切れていた。残りの半分がもう片方の手に刻まれている。
「なぜあざが半分に……?」
「ただふたつに分かれているのではない。王位に就く者のあざと、龍の盾の伴侶となる者のあざを、王子たちは半分ずつ分け合っているのだ」
「分け合って……?」
よくよく見ると左右の模様はまったく違う形をしていた。両手を合わせてみても、模様はぴったりとは重ならないようだ。しかし双子の手をクロスして並べると、正しい龍のあざの形が出来上がった。