嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
――龍の花嫁の力が尽きかけているのかもしれない
不吉な予感が胸をよぎった。
今あるこの国の平穏は、マルグリットのおかげと言っても過言ではない。龍の命を繋げられるのは、星読みの血を継ぐ者以外に存在し得ないのだから。
この事実を知る者はごく僅かだ。長期に渡り龍の託宣を調べ上げてきたカイですら、情報の切れ端にさえたどり着きはしないだろう。
そのカイもやがて国の礎となる。王族となった身では黙ってそれを受け入れるしかなかった。肉親としてこの心が、どれだけ血の涙を流そうとも。
「また近いうちに顔を出します。冬の間は王都周辺にいると思うので」
「ではしばらくはゆっくりできるのね?」
「おそらくは。長年の任務は無事に片付きましたから」
曖昧な返事とその理由に、イジドーラははっとカイを見やった。
自身に降りた託宣の真実を、カイは長きに渡って求め続けてきた。そのカイの言う“長年の任務”が、イジドーラの思うそれならば。
カイの時間はもう、さほど残されていないということだ。
「カイ……」
「次は何かたのしい土産話でも持ってきますよ」
明るい笑顔を向けられて、それ以上は何も言えなくなった。いつものカイのようでいて、どこか達観しているような。そんな様子にイジドーラの胸が押しつぶされる。
今度こそ最後なのかもしれない。
だが別れの言葉など、どうあっても口にしたくはなかった。
カイにしても同じはず。自分たちは次を約束し続けてきた。終わりまで笑みを浮かべて見送らねばならない。それがカイの望みであるのなら。
不吉な予感が胸をよぎった。
今あるこの国の平穏は、マルグリットのおかげと言っても過言ではない。龍の命を繋げられるのは、星読みの血を継ぐ者以外に存在し得ないのだから。
この事実を知る者はごく僅かだ。長期に渡り龍の託宣を調べ上げてきたカイですら、情報の切れ端にさえたどり着きはしないだろう。
そのカイもやがて国の礎となる。王族となった身では黙ってそれを受け入れるしかなかった。肉親としてこの心が、どれだけ血の涙を流そうとも。
「また近いうちに顔を出します。冬の間は王都周辺にいると思うので」
「ではしばらくはゆっくりできるのね?」
「おそらくは。長年の任務は無事に片付きましたから」
曖昧な返事とその理由に、イジドーラははっとカイを見やった。
自身に降りた託宣の真実を、カイは長きに渡って求め続けてきた。そのカイの言う“長年の任務”が、イジドーラの思うそれならば。
カイの時間はもう、さほど残されていないということだ。
「カイ……」
「次は何かたのしい土産話でも持ってきますよ」
明るい笑顔を向けられて、それ以上は何も言えなくなった。いつものカイのようでいて、どこか達観しているような。そんな様子にイジドーラの胸が押しつぶされる。
今度こそ最後なのかもしれない。
だが別れの言葉など、どうあっても口にしたくはなかった。
カイにしても同じはず。自分たちは次を約束し続けてきた。終わりまで笑みを浮かべて見送らねばならない。それがカイの望みであるのなら。