嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 どれほどの間、快楽の海に溺れていたのか。まるで思考が働かない中、ルチアは重いまぶたを開いた。
 すぐ目の前でカイの琥珀の瞳が見つめ返している。

「……カイ、わたし、お腹空いた」
「はは、さすがにそろそろ起きなきゃまずいか」

 勢いよく跳ね起きると、カイは大きく伸びをした。ぼさぼさの髪のまま、ルチアもなんとか体を起こす。眠い目をこすっていると、カイがそのまぶたに口づけてきた。

「なんか用意してくる。ルチアはもう少しゆっくりしてて」

 ほどなくすると、卵が焼けるいい匂いがしてきた。嗅覚を刺激され、ようやく目が冴えてくる。

「お待たせ、ルチア。起きられそう?」

 頷いて裸のまま寝台を降りた。脱いだ服が見当たらなくて、適当に上かけのリネンで体をくるむ。

「これ、全部カイが作ったの?」
「保存食使った簡単なものだけどね。どう? 口に合う?」
「うん、とっても美味しい」
「そっか、ならよかった」

 なんだか懐かしい味がした。それだけでなく、母と旅して過ごした日々を、彷彿(ほうふつ)とさせるような温かさに包まれる。
 食後、カイが洗った皿を拭きながら、ルチアは不思議に思って小首をかしげた。

「カイって貴族なのにこんなこともできるのね」
「まぁ、騎士なんかやってるとね。誰でも一通りのことはできるようになるんじゃない?」
「それっていろんな任務とかがあるから?」
「ま、そんな感じ」
「ふーん」

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