嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「ルチアさ、オレたちそろそろ戻らないと」
「うん……」

 編む手を止めたルチアは、唇を噛みしめ俯いた。起き上がったカイがその顔を覗き込む。

「ルチアはこのままオレがブルーメ領まで送るから。ここを出たら、オレとルチアはただの騎士と子爵令嬢。いいね?」
「うん、分かってる」

 泣きそうな声で頷き返すと、ルチアは金の瞳をまっすぐに向けてきた。

「わたしカイとの秘密はちゃんと守る。カイがほかの(ひと)のところに行くのも止めたりしないし、わがままも言ったりしない。領地の屋敷でカイのことおとなしく待ってる。だから……」

 ルチアは唇を小さく震わせる。

「連絡だけはしてほしいの。カイが忙しいのは分かってる。でも短くってもいいから何か連絡くれると、わたし安心して待ってられるから……」
「分かった。できるだけこまめに連絡するようにするよ」
「ほんと?」
「うん、約束する。遠方の任務だとすぐには無理なこともあるけど」
「それでもいい! わたしいい子で待ってるから、だからちゃんとわたしのところに帰ってきて」

 ルチアの頬に指で触れ、カイは柔らかく笑みを返した。
 潤む瞳と見つめ合う。

「ルチアはいい子だね」

 了承の証に、唇をやさしく啄んだ。

「そろそろ戻ろう。陽が陰ってきた」

 ルチアの手を引き立ち上がらせる。
 会話もなく舞い戻った寝室で、ぎりぎりまで深く激しく愛し合った。

 力尽きたルチアを抱き寄せ、ぎゅっと腕に閉じ込める。
 絡ませた素足が交差して、内ももに刻まれたカイとルチアの龍のあざが重なり合った。耐えがたくも心地よい熱が、再びふたりをひとつに溶かす。

 向かい合わせで寝ころんだまま、吸い込まれるようにカイも穏やかな眠りについた。

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