嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「駄目よ、アムゼル!」

 見失わないよう黒い羽ばたきを追いかけた。後宮を出たアムゼルは、迷路のような王城の廊下を誘うように飛び続ける。

「もう! いい加減にしなさい、アムゼル!」

 息が続かなくなったピッパは、もつれるようにその場にしゃがみこんだ。
 その様子を心配するかのように、旋回したアムゼルがピッパの肩へと戻ってきた。キョロロとさえずりながら、ピッパの顔に頬ずりをしてくる。

「くすぐったいわ、アムゼル。もう分かったから」

 アムゼルの頭を指で軽く撫でつけると、ピッパはようやく立ち上がった。
 闇雲に走ってきた廊下を振り返り、ここはどの辺りだろうかと首をかしげた。

「アムゼルのせいで変なところに来てしまったじゃない。ねぇ、誰かいないの?」

 廊下に向かって声をかけるが、返事をしたのはアムゼルだけだ。
 仕方なく気の向くまま廊下を進む。途中、何もない壁が白く光った気がして、ピッパはそこで立ち止まった。
 何とはなしにその壁に触れる。途端に浮き出してきた扉が、手ごたえもないまま音なく開いていった。

「こんなところに扉が……?」

 不思議に思いつつ、ピッパはアムゼルとともに開いた扉のその先へと歩を進めた。

< 400 / 522 >

この作品をシェア

pagetop