嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「だからみんなやめようよぅ。やっぱり子供にする話じゃないと思ぅ…」
「なんであんたが顔赤くしてんのよ?」
「ネナは初心(うぶ)だからねぇ」
「今どき結婚するまで処女を守る()なんていないわよ? 何年も待たされて、レオもよく我慢できてるわよね」
「あ……う、それは……」

 さらに真っ赤になって口ごもった女の手を、ルチアは耳から引きはがした。女たちのやり取りを、そのまま黙って見守った。

「なによネナ、その反応。もしかしてとうとうレオとヤッたの?」
「う、うん。一緒に住むって話も出てきたから、これ以上待たせても悪いかなって」
「うそっ! それでどうだった? レオとの初めては?」
「血がいっぱい出て、すごく痛かった……」
「それで?」
「それでって……初めてのことだらけでわたしもいっぱいいっぱいだったから。それに入ったらすぐ終わちゃったし……」

 語尾がどんどん先細っていくのと対照的に、周囲は一層かしましく捲し立てた。

「最初なんてまぁそんなもんよ。あんたたち初めて同士だしね」
「そういや、わたしも初体験はめちゃくちゃ痛かったなぁ。血まみれでもう死ぬかと思ったもん」
「わたしは出血はそうでもなかったけど、痛くて思わず相手を蹴り飛ばしちゃったっけ。気持ちよく感じるようなったのもかなり回数こなしてからだったし」
「まぐわいも数稽古(かずげいこ)なとこあるからねぇ」
「へたくそなやつとは、いつまで経っても気持ちよくなれないけどね!」

 大笑いする女たちの中、いまいち話が呑み込めないルチアはひとり首をひねった。

「ねぇ、みんな何の話ぃ?」
「あ、ニナ! カールと付き合いだしたんだって!?」
「そぉなのぉ、カールったら毎日あたしに愛を囁いてくれてぇ」

 そこに先ほど話題に出た女がやって来る。まるで祭りの当日のように、かなり気合いの入ったおシャレ具合だ。

「で、ぶっちゃけあっちの方はうまかった?」
「それはもう、すぅんごいのっ! 手が何本もあるんじゃないかってくらいあちこち気持ちよくしてくれてぇ……このまま死んじゃってもいいってくらい!」
「うわ、その噂って本当だったんだ」
「うふふ、そのカールとこれから会うのぉ。また今度ゆっくり話聞かせてあげるわねぇん」

 その背を見送ると、女たちは一斉にざわついた。

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