嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
「ヴァルト様、おかえりなさいませ!」
王城出仕から戻ったエントランスで、リーゼロッテに出迎えられる。駆け寄ってきたところを子供抱きに持ち上げて、すかさず柔らかな唇を啄んだ。
「もう、みなが見ておりますわ」
好きに見させておけばいい。そうは思ったものの、この恥ずかしげな上目遣いをほかの誰かに見られるのは面白くない。
その結論に至ったジークヴァルトは本心から頷いた。
「善処する」
「本当に? 約束ですわよ?」
疑わしげなリーゼロッテを抱え、執務室へと歩き出す。数歩遅れてカークが続き、その周囲をきゅるるん小鬼が飛び跳ねた。
そのまたさらに後ろをたくさんの使用人がぞろぞろとついて来る。これはマテアスの差し金だ。公爵家の呪いがいつ起きてもいいように、調度品を守るための人員らしい。
この行列はフーゲンベルク家ではもう慣れっこのことだった。遠巻きに見つめる者たちに「ああ、旦那様のお帰りね」程度に受け止められている。
「ヴァルト様、何か良いことでもございましたか?」
腕の中、リーゼロッテが不思議そうに顔を覗き込んでくる。
あまりの可愛さに口づけたくて堪らなくなった。たった今した誓いを、すでに後悔しているジークヴァルトだ。
「今日、ハインリヒに言われた」
「王に? 何をですか?」
「しばらく出仕しなくていいそうだ」
「ではずっとお屋敷で過ごせますのね!」
「ああ」
ぎゅっと首に抱きつかれ、理性の糸が張り詰める。限界を迎えそうな一歩手前で、なんとか執務室へと辿り着いた。
「ヴァルト様、おかえりなさいませ!」
王城出仕から戻ったエントランスで、リーゼロッテに出迎えられる。駆け寄ってきたところを子供抱きに持ち上げて、すかさず柔らかな唇を啄んだ。
「もう、みなが見ておりますわ」
好きに見させておけばいい。そうは思ったものの、この恥ずかしげな上目遣いをほかの誰かに見られるのは面白くない。
その結論に至ったジークヴァルトは本心から頷いた。
「善処する」
「本当に? 約束ですわよ?」
疑わしげなリーゼロッテを抱え、執務室へと歩き出す。数歩遅れてカークが続き、その周囲をきゅるるん小鬼が飛び跳ねた。
そのまたさらに後ろをたくさんの使用人がぞろぞろとついて来る。これはマテアスの差し金だ。公爵家の呪いがいつ起きてもいいように、調度品を守るための人員らしい。
この行列はフーゲンベルク家ではもう慣れっこのことだった。遠巻きに見つめる者たちに「ああ、旦那様のお帰りね」程度に受け止められている。
「ヴァルト様、何か良いことでもございましたか?」
腕の中、リーゼロッテが不思議そうに顔を覗き込んでくる。
あまりの可愛さに口づけたくて堪らなくなった。たった今した誓いを、すでに後悔しているジークヴァルトだ。
「今日、ハインリヒに言われた」
「王に? 何をですか?」
「しばらく出仕しなくていいそうだ」
「ではずっとお屋敷で過ごせますのね!」
「ああ」
ぎゅっと首に抱きつかれ、理性の糸が張り詰める。限界を迎えそうな一歩手前で、なんとか執務室へと辿り着いた。