嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「まったくぅ、そんなお姿で出てきたりしてぇ。誰かに見られでもしたらどうなさるおつもりですかぁ?」
「はは、ベッティじゃなかったらちゃんと隠れてるって」
悪びれもせず、カイは皿から料理をつまんで口に放り込んだ。ふたり分の料理を部屋に運ぶ理由も、最近では慣れたものだった。
ブルーメ領に戻ってからというもの、カイはそこそこ頻繁にルチアに会いに来ている。遠方の地からの連絡でタイムラグはあるものの、いつ頃来れそうかをこまめに伝えるようにもなっていた。
ルチアはルチアで、カイの訪れが遅れたとしても一切文句を言うことがなくなった。ふたりして、どんな心境の変化があったのやらだ。
ベッティにとってカイの意思は絶対だ。いろいろと思うところはあっても、繰り返されるふたりの逢瀬をベッティは黙って見守っていた。
「そうだ、ベッティ。オレが出した課題だけど。ベッティが前に言ってたように、リーゼロッテ様の元に行くってことでいい?」
突然の問いかけに、ベッティはカイの顔をじっと見た。
いつかいなくなるカイのために、ベッティは安寧の地を探すよう随分と前から言われていた。
どんなに残酷に思える約束だとしても、カイの望みならベッティは守るしかない。すべてを覚悟したような、こんな目をしたカイを前にしては尚更だ。
「その件なんですがぁ、やっぱりわたしこのままルチア様のそばにいようかと思っててぇ」
「ルチアの? でもここじゃ退屈すぎるでしょ。オレに気を遣ってるなら必要ないよ?」
「いいえ、そう言うことではなくてぇ。市井育ちのルチア様とは思いのほか気が合いましてねぇ、わたしも案外毎日たのしいんですよぅ」
デルプフェルト家の任務はいつでもスリリングで、ベッティにしてみれば生き甲斐みたいなものだった。そういった意味ではリーゼロッテのところにいた方が、この先も波乱万丈な人生を送れそうだ。
だがベッティはどうしても確かめたかった。ただひとり、カイが選んだのがなぜルチアだったのかを。
冷たくカイに捨てられて必死に追いすがる女たちを、これまで山ほど目にしてきた。最期を迎えるその瞬間まで、カイは孤独のまま逝くのだろう。ずっとそう信じて疑わなかったベッティだ。
「はは、ベッティじゃなかったらちゃんと隠れてるって」
悪びれもせず、カイは皿から料理をつまんで口に放り込んだ。ふたり分の料理を部屋に運ぶ理由も、最近では慣れたものだった。
ブルーメ領に戻ってからというもの、カイはそこそこ頻繁にルチアに会いに来ている。遠方の地からの連絡でタイムラグはあるものの、いつ頃来れそうかをこまめに伝えるようにもなっていた。
ルチアはルチアで、カイの訪れが遅れたとしても一切文句を言うことがなくなった。ふたりして、どんな心境の変化があったのやらだ。
ベッティにとってカイの意思は絶対だ。いろいろと思うところはあっても、繰り返されるふたりの逢瀬をベッティは黙って見守っていた。
「そうだ、ベッティ。オレが出した課題だけど。ベッティが前に言ってたように、リーゼロッテ様の元に行くってことでいい?」
突然の問いかけに、ベッティはカイの顔をじっと見た。
いつかいなくなるカイのために、ベッティは安寧の地を探すよう随分と前から言われていた。
どんなに残酷に思える約束だとしても、カイの望みならベッティは守るしかない。すべてを覚悟したような、こんな目をしたカイを前にしては尚更だ。
「その件なんですがぁ、やっぱりわたしこのままルチア様のそばにいようかと思っててぇ」
「ルチアの? でもここじゃ退屈すぎるでしょ。オレに気を遣ってるなら必要ないよ?」
「いいえ、そう言うことではなくてぇ。市井育ちのルチア様とは思いのほか気が合いましてねぇ、わたしも案外毎日たのしいんですよぅ」
デルプフェルト家の任務はいつでもスリリングで、ベッティにしてみれば生き甲斐みたいなものだった。そういった意味ではリーゼロッテのところにいた方が、この先も波乱万丈な人生を送れそうだ。
だがベッティはどうしても確かめたかった。ただひとり、カイが選んだのがなぜルチアだったのかを。
冷たくカイに捨てられて必死に追いすがる女たちを、これまで山ほど目にしてきた。最期を迎えるその瞬間まで、カイは孤独のまま逝くのだろう。ずっとそう信じて疑わなかったベッティだ。